読書記録

アメリカにいて捗ることはと訊かれたら私の場合はいの一番に“読書“と答える。 昔は編み物をしたり、たまに娘の服を縫ったりとクラフト系の趣味があったけれど、 道具が揃わなくても室内でできる、いやどこででもできる読書は最強のアクティビティ。 帰国してふた月。帰国直後からひと月目は娘の引っ越しなどで忙しく、 どうにも長編を読む気分になれなかった。 最近、自分が住む家の契約も終えてホッとしていたところで出会ったのがこの長編小説。 さすがキングカウンティ、ライブラリーの外国語蔵書が比較的新しく、 昨年TwitterでこのPachinkoの評判を読んでいてとても興味があったので見つけた時は小躍りした。 新しい家は違うカウンティにあるので返却時の手間を考えて借りるのを尻込みする私に次女が、 マミーならすぐ読み終えるよ、日本語の本は高いんだから両方借りないと意味がない! と言ってくれたので上下巻とも借りて読み始めた。 なんと面白い!ストーリーに引き込まれて時間を忘れて真夜中まで読んでしまった! なんのことはない1日であっさりと“上“を読了。 大阪の在日韓国人家族の話で、大阪出身、しかも下町(と言うのか)で育った私には この小説の中の環境設定はとても親近感を感じるものだった。 韓国の文化は私にはとても近く、キムチやチャンジャを買いに日常的に市場へ行ったし 近くにはごま油を絞る店などもあり、一升瓶を持って行くと絞りたてのごま油が買えたりした。 この小説を読むことで、韓国から来た方々の商売のきっかけみたいなものが見えた。 話は第二次世界大戦中の韓国からスタートし、戦時中の韓国と日本との関係性、 そして韓国の人達がどの様にして海を渡って日本へ来ることになったのか。 また、当時の人々の生活環境についても臨場感溢れる描写が興味深く印象的。 ストーリーは時系列の構成でなっており、一話ごとに年代と背景となる土地名が記されている。 偶然にもそれぞれの土地が故郷や子供の頃に毎年の様に訪れた土地、 また住んだことのある場所だったこともあり土地勘が幸いして理解を深める助けになった。 年代については自分が生まれる何十年前、二年前、そして何歳の頃という風に、 当時の大阪の街の風景と重ね合わせて読めたことも引き込まれた理由のひとつだと思う。 この小説を読みながら、なんと女性というものは時代に翻弄されて来たのだろう...